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Wonder Kit FW-208A
FM Wireless Mike Kit

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ベビーモニタをつくろう
     FM送信機は電子工作の定番。 安価な入門用からセミプロ級のものまで、数多くのキットが売られています。 私にとっては、FM送信機キットとしてはこのFW-208は3台目になります。  以前の2つはいずれもステレオ送信機でしたが、今回はモノラル。 目的は車載用のベビーモニタをつくることです。 いえいえ、私は決して車の中に赤ん坊を置き去りにしてパチンコするほどバカじゃありません。 が、ガソリンスタンドで給油中にトイレに行くときも赤ん坊を抱っこしていくかと言われたら、うーむ。
    もうひとつの目的は、最近買ったハンドヘルド トランシーバは走行中の車両で聞くには音が小さすぎ、また内蔵スピーカも音が良くないので、このオーディオ出力をFMカーラジオで聞こうという狙いです。 だからモノラルでよく、また音質もさほどいい必要はありません。 小さなキットでも買って組み立てるのがよさそう。
Wonder Kit FW-208A FM Wireless Mike Kit
FMワイヤレスマイク

    ワンダーキットFW-208Aは入門者用のFMワイヤレスマイクキット。 プリント基板と部品それにコンデンサマイクを含む一式のキットで、マニュアルもしっかりしています。 価格は1600円。 入門者のために、同社ではうまく動作しなかったときのための修理サービスもあります。

    ステレオFM送信機キットはステレオ・モジュレータICを用いたものが多いですが、本機はモノラル機であり、トランジスタを2つ使用したディスクリート構成。 2SC945がマイク入力の低周波増幅、2SC1923が高周波発振を行います。 発振トランジスタのコレクタには144MHz用のFCZコイルと、それに並列に入った20pFのトリマキャパシタがあり、この共振周波数が出力周波数を決定します。 トリマ キャパシタと並列に1SV103 バリキャップが入っており、このバリキャップに低周波増幅回路の出力信号が印加されています。 したがって低周波信号の電圧に応じてバリキャップの容量が変化し、それに応じて高周波発振周波数も変化します。 これにより周波数変調がかかります。
    1SV103はコルピッツ発振回路で使うときに便利なように2個のバリキャップがひとつのパッケージに収められていますが、本機では片側だけを使用しています。
組み立て

Unmounted area of PCB. Guess what.
    プリント基板は専用の片面基板で、半田面はレジストつき。 部品面のシルク印刷もはっきりしているし、寸法精度も文句なし、さすが日本製のキットです。 プリント基板は長細く、ハンドマイクに仕上げるのに便利そう。

    ところが良く見ると、基板の端の約1/3ほどは全く部品を実装しません。 回路図にも 「この部分は使いません」 とあります。 あれれ、他のモデルとの共通基板なんだろうか。 で、その不使用部分のシルクとパターンを眺めてみると、 ふむふむ、なるほど、そういうことか。

    まずは基板の不使用部分はそのままとし、マニュアル通りに組み上げてみましょう。 たった2石とはいえフルディスクリートで案外に部品点数は多く、抵抗は10本、コンデンサ11個、ダイオード2個にトリマとコイルが1個ずつ。 部品のレイアウトも好感が持てるし、なにしろパーツの挿入がスムースにできるのでひとしきり組立作業が楽しめました。
テストラン

FM-208A Assembled
    9V乾電池をつなぎ、テスト開始。 歳のせいか一ヶ所半田ブリッジを見落としてしまいましたが、それを修正したらすぐに動作しだしました。 出力コイルには手を触れず、トリマの調整だけで簡単に目的の周波数に調整できました。 付属のコンデンサマイクは超高感度というわけではなさそうですがベビーモニタ目的としては適切なゲインがあります。 音質もクリアで、発振周波数も十分実用的に安定しています。 適当なパッケージに組み込めば、FMワイヤレスマイクの完成です。

    高調波の具合はどうでしょう。出力周波数の整数倍の高調波は結構出ていて、周囲10m程度であれば10倍波の900MHz台でも受信可能です。 テストしているときに8倍の高調波がUHFテレビの音声周波数にかなり近いことに気がつきました。 下手するとこんな小さなものでもご近所に迷惑をかけることにもなりかねません。 発振回路の波形は観測していませんが、発振波形が歪んでいるとするとコレクタ同調1段では高調波は抑圧しきれないようです。 安心するためにはローパス フィルタのようなものでも出力にいれるようでしょうか。

    消費電流はマニュアルによれば約5mA、9V積層電池で約70時間動作可能とありますが、DC9Vで実測してみたところ約12mAあります。


Frequency vs Supply Voltage
    本機の電源電圧はマニュアルによればDC6Vから9Vとありますが、本機には安定化電源回路はありません。 その代わり、バリキャップ部には5Vのツェナー ダイオードがあり、電源電圧変動によるバリキャップのバイアス電圧の変化を抑えています。 実力のほどはどうでしょうか?
    実際に電源電圧を変化させ、出力周波数の変動を測ってみました。 周波数の測定にはワイドバンド受信機能つきハンドヘルド トランシーバをAMモードにして受信感度が最大になる周波数を調べました。 測定誤差は±5kHz程度のはずです。

    左のグラフからわかるように、電源電圧が9V近傍での変化は1Vあたり約46kHzとなりました。 電源電圧依存性は皆無ではないものの、このクラスとしては優秀な成績なのではないかと思います。 周波数変動を±10kHz程度に抑えたければ、電源電圧の変動は±0.2V程度に抑える必要があります。 これは乾電池では難しいですから、車両のDC12V系から電源を供給するのなら3端子レギュレータで9Vを作り出すのが良いでしょう。
追加ボード

    他の機器のヘッドフォン出力などを接続するには本機のオーディオ入力感度は高すぎるので、 アッテネータを用意する必要があります。 入力ジャックとしてステレオミニジャックを使用したいので、左右のチャネルをミックスするものとします。 このアッテネータと9Vの安定化電源回路とを、別の基板に製作しました。

     もう一段の同調回路による高調波抑止効果と、発振回路とアンテナとの間のバッファとしての効果を期待して、アンポピュレーテッド部分も実装しました。 本来の回路だと次段のベース回路が発振回路のコレクタ同調周波数に影響を与えてしまうので、コイル2次側巻線からのリンクにしました。 トランジスタには2N2222を使用しました。 ピン配置がPCBレイアウトと異なるのですこし不恰好ですが。
     ちなみにここはFETを使用すれば本来の配線でも発振周波数への影響は抑えられるはず。 ま、うまく動作しているので今回はバイポーラのままでいきます。

    折りしも8月12日。 ペルセウス座流星群の極大の日です。 この夜は全天が曇りで、星はおろかこの日の満月でさえ見えませんでした。 が、電波観測には関係ありません。 前回ふたご座流星群を観測したときはクソ寒い冬の深夜、レオーノフ号の中で毛布にくるまって凍えていました。 今夜はレオーノフ号で受信した流星からの反射受信音をFW-208Aで飛ばし、ラボでゆっくり聞こうという計画です。
    実際にセットアップしてみると、駐車場との位置の関係で、レオーノフ号に設置したFW-208Aからの信号はキッチンまでは届いているものの、あと3mの ラボまでは届きませんでした。 ので、急遽 駐車場側の建物外壁にビニール線をたらし、 パナソニックRF-877で受信できるようにしました。 アッテネータの効きも適度で、クリアに聞こえます。 今回はRF-877の出力をNoobow9100コンピュータに入れ、10時間分を連続録音してみました。 流星が流れるたび、53.749MHzのエコーがきれいにはっきり聞こえます。
夏休みの宿題

    どうもこの回路はプリエンファシスを省略しているとみえて、音楽のオーディオ信号を普通に入力すると、 受信機によっては低音のレベルが過大となり歪んでしまいます。 あらかじめ低音のレベルを下げたソースを入力すれば大丈夫。 それ以外、音質は価格を考えれば良好で、不満はありません。 小学生のころ3500円かそこら払ってナショナルのFMワイヤレスマイクを買ったけれど、あれはひどい音だったなあ。

    さてFW-208Aは調子よく動作しているので、ケースに入れて実用機にしましょう。 今年の夏休みの課題工作です。 ところが実際にはなかなか時間が取れず、10月に入ってようやく夏休みの宿題が完成しました。
    ケースは100円ショップのプラスチックケース。 安くてお手軽で、素人工作の定番ですね。 ケース側面を実用時のフロントパネルと見立て、電源スイッチと内蔵マイク/外部入力の切り替えスイッチ、および外部入力ジャックを取り付けました。 背面には電源ジャックと、アンテナリード線の引き出し。 簡単な工作ですが、私はどうも昔からこの手のがヘタクソで、いつも仕上げはイマイチになってしまいます。 まいいや、FW-208Aは完成。 さあ、ターボ・ファルコン号に取り付けようっと。

簡単だけれど

    微弱電力とはいえ十分に実用になるFM電話送信機がわずかトランジスタ2石でできる、というのは考えてみればすごいことかもしれません。 1937年のRadio Engineeringという本には、周波数変調に関して数学的な解析までは言及されていますが、いざ実用性となると 「音声通信の方法としては実用的ではない」 と断言されています。 たしかにFMはAMにくらべて占有周波数帯域が広く、長波や中波または短波では混信の元となりますから、 最初から実用性なしと決め付けられてしまうのも無理はないでしょう。 でも、今では誰でも知っているFMの利点 - 音質がよく、ノイズの影響を受けにくい - はこの1937年の本では全く触れられていません。 この本ではまた、「現在のところ周波数変調を使用した商用通信局は存在しないが、盛んに研究は進められており、超短波での利用に期待がもたれている。」 とあります。 安定した超短波回路ができて初めてFMの利点が生かせるようになったわけですね。
    1937年での周波数変調の方法は、発振回路の同調キャパシタの電極板を直接音声信号で振動させる方式だったし、復調はスロープ検波のみでした。 いまこうやって子供向けのキットでさえ十分に満足できるFMを生成できるのは、ひとえに可変容量ダイオード、いわゆるバリキャップというデバイスができた (しかも低価格!!) からだといえるでしょう。

    技術は完成した- あとはコンテンツなのだけれど、一日中かけっぱなしにしたいと思うような放送局がないよね、日本には。


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Copyright(C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2003

May. 31, 2003 Purchased at Akihabara.
Jun. 01, 2003 Kits assembled.
Jun. 02, 2003 Page created.
Oct. 05, 2003 Revised. Packaging completed.